増刊号 内科診断の道しるべ—その症候、どう診る どう考える
背部・四肢
こむらがえり
田中 まゆみ
1
1大原綜合病院総合内科
pp.385-389
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402224095
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□「こむらがえり」という言葉で患者が訴えている症状の確認:
さまざまな方言もあることに留意.あまりにも日常語なので,最初に丁寧に患者の訴えを確認しておかないと,あとで軌道修正に苦労する(すべての患者の訴えについて言えることだが).そもそも「筋肉の痙攣」なのか否か.「痛み」を伴う筋肉痙攣が典型的「こむらがえり」だが,患者が辛かったり日常生活で不便を感じていたりするのは,何に対してなのか(単なる「突っ張り感」なら,患者の解釈モデルを聞き出す必要がある).身体部位(ふくらはぎが典型的だが,太もも,手や足の指などにもよく起こる),いつ,どんなときに起こるのか.夜間や明け方に突然起こるのが典型的「こむらがえり」だが,昼間や,運動中など,誘発因子が異なる場合は病態も異なる可能性がある.
□頻度や強さ,その変動(進行性かどうか)の確認:
こむらがえりは非常にありふれた症状なので,医療機関を受診する理由として,頻繁に起こるので痛くて何度も起きねばならず安心してぐっすり眠れない,旅行に行けない,あるいは頻度や強度が悪化してきている,ということが多い.患者の訴えが進行性の場合は,病態の精査が必須である.こむらがえりの原因疾患は多岐にわたるので,進行するものを念頭に,積極的に検査する.なかでも,服薬内容(サプリメントも含め)の確認は重要である(薬剤性こむらがえりの可能性と,そのように薬剤が増えた背景に何らかの疾患の進行がある可能性).逆に,少ない頻度(月1回未満)や軽い症状で医療機関を受診するような場合は,患者がこむらがえりの原因として何を想定して不安に駆られているのか(受診動機)を丁寧に聞き出す必要がある.
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