Japanese
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いわゆるこむら返り(筋痙攣)は日常しばしばわれわれが経験する現象であり,疲労,寒冷,あるいは急激に筋肉に力を入れる際に起るもので,とくに下腿,足部に生じやすく,一般的に生理的現象として扱われ,欧米では従来よりnocturnal crampとしても記載され,日本人よりもより高頻度にみられるもので,その対策についても多く論じられてきている。しかし,こむら返りがほとんど全身にみられ,疼痛を伴い,その結果死の転機をとるほどに激烈なこむら返りが頻発する全身こむら返り病が里吉1〜3)によって1963年以来これまでに10数例記載され,注目されるようになった。全身こむら返り病には,こむら返りの分布の広さ,疼痛のほかに,下痢,脱毛,内分泌および代謝異常,骨変化,発育異常などの所見を合併し,1疾患単位と考えられ,その病態機構の解明によりこむら返りの発現機序の生理的解明に資する上でも興味をひく疾患である。
われわれ4,5)はすでに1968年以来2例の本症の病理および臨床について報告している。2例の臨床像と剖検所見をまとめ,こむら返りの発現との関連について考察する。
Two female cases of generalized and recurrent muscle cramps with characteristic abnormalities such as loss of hair, amenorrhea, and metabolic disorder are reported.
The first case complained of the painful muscle cramps for seven years, starting at 12 years of age in bilateral calves. The cramps spread in all the locations of her body, including facio-oro-pharyngeal regions. She expired because of dyspnea and cyanosis due to crises of severe muscle cramps.
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