特集 神経学における最近の研究
<臨床>
全身こむら返り病
里吉 營二郎
1
1東邦大学第4内科
pp.833-834
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904952
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1.概 念
本症については1963年第1回のPan American Congress of Neurologyの特別講演として著者が2例の報告をしたのが最初である1)。その後1967年には米国神経学会で3例について報告し2),原著は同年発表されている3)。本邦では1968年に発表したが4),余り適当な病名が見当らず,その特徴をとって,仮に"全身こむら返り病"という名称を用いて以来,この名前が用いられるようになった5,6)。従来にはまったく記載のない新しい症候群で,最初不明であった病態や病理所見も確められ,現在では特異な"収吸不全症候群"の1種と考えている。本年これらの成績をまとめ,"A Syndrome of progressive muscle spasm,alopecia and diarrhoea"という表題で約20年にわたる追求のまとめを発表したので7),英語の病名としてはこの名称を正式のものとしたいと考えている。
"こむら返り"とは腓腸筋の筋痙攣を呼ぶもので,たえ難い激痛を伴うこの筋痙攣は運動時や夜間に経験した人も少なくない。本症ではこの"こむら返り"とまったく同じ筋痙攣が次々と全身の筋にみられるのが特徴で,きわめて印象的な病気である。本来の"こむら"(腓腸筋)という名称にはそぐわないが,仮に"全身こむら返り病"という名称を用いてある。
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