特集 伝達物質と受容体
6.プリン
P2Y10受容体の進化的位置とリガンド
藤田 典久
1
Norihisa Fujita
1
1立命館大学薬学部情報薬理学
pp.504-505
発行日 2009年10月15日
Published Date 2009/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100938
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[用いられた物質/研究対象となった受容体]
スフィンゴシン1リン酸,リゾホスファチジン酸/P2Y10受容体
●受容体の進化系統樹解析とP2Y10受容体
ヒトゲノムには約1000個のGタンパク質共役型受容体(GPCR)がコードされているが,その三分の一近くはいわゆる医薬品の分子標的となるGPCRである。GPCRは7回膜貫通型へリックス構造を基本骨格とするが,369種類のGPCRからそれぞれ七つの膜貫通部位を予測し,PHYLIPを利用した進化系統解析を行った1)。その結果,47種類のメンバーからなるP2Y受容体ファミリーが得られ,その中にはP2Y10受容体をはじめ,13種類のオーファンGPCRが含まれていた(図)。
P2Y10遺伝子はP2Y1受容体の遺伝子断片をプローブとしたホモロジークローニングにより単離されたが,いわゆる核酸受容体(P2Y1,2,4,6,11,12,13受容体)との相同性は低く(平均27%),進化の解析ツールによってはP2Y10受容体がP2Yファミリー外となる結果をもたらすこともある。事実,P2Y10受容体は核酸系リガンドによって活性化されることはない。
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