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連載 自己指向性免疫学の新展開――生体防御における自己認識の功罪・Vol.24
免疫受容体が認識する代謝物リガンドの網羅的探索に向けた解析システムの開発
Development of an analytical system for comprehensive exploration of metabolite ligands recognized by immune receptors
富安 範行
1
,
和泉 自泰
1
Noriyuki TOMIYASU
1
,
Yoshihiro IZUMI
1
1九州大学生体防御医学研究所メタボロミクス分野
キーワード:
免疫受容体
,
リガンド
,
自己抗原
,
メタボロミクス
,
リピドミクス
Keyword:
免疫受容体
,
リガンド
,
自己抗原
,
メタボロミクス
,
リピドミクス
pp.583-587
発行日 2025年2月15日
Published Date 2025/2/15
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292070583
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SUMMARY
代謝物のなかには,ビタミンや転写・翻訳後修飾の基質,免疫受容体が認識する低分子リガンドなどの機能性分子が存在する.近年の液体クロマトグラフィ高分解能タンデム質量分析(LC/HRMS/MS)技術の発展によって,さまざまな生体試料から数千種類の代謝物由来の分子量関連イオンを観測できるようになった.しかし,現行の計測およびデータ解析技術を用いても同定できる代謝物の割合は20%未満である.そのため,80%の未同定ピークのなかにはヒトの生体システムを調節する新規の機能性代謝物が含まれている可能性がある.樹状細胞やマクロファージが有する免疫受容体の一種のC型レクチン受容体(CLRs)は,損傷自己成分や病原性細菌が有する特有の脂質分子を認識し,生体の危機を感知するセンサーとして働いていることが知られている.CLRsに対する未知のリガンドの構造やそれらの生合成機構を明らかにすることは生体防御の原理原則の理解や将来の新規感染症治療薬の開発につながる.本稿では,CLRsの新規脂質リガンドの探索を例に,LC/HRMS/MSを基盤とした代謝物の分取・分析システムとバイオアッセイを融合した開発プラットフォームについて解説する.
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