Japanese
English
特集 気管支喘息と受容体
PAF受容体
PAF and PAF Reccptor
本田 善一郎
1
Zenichiro Honda
1
1東京大学医学部内科物理療法学
1Department of Physical Therapy, Faculty of Medicine, The University of Tokyo
pp.1169-1177
発行日 1997年12月15日
Published Date 1997/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404910075
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はじめに
血小板活性化因子(PAF)は極めて脂溶性の高い短寿命の局所ホルモンであり,炎症,アレルギー,神経伝達,生殖など幅広い生物現象に関わると考えられている1〜5).1970年初頭のPAFの構造決定6〜9)以来,PAF生合成/分解の酵素学の発展10〜12),PAF受容体の構造決定と細胞内情報伝達機構の解明13〜18)といった流れを経て,PAFの生理作用の理解は次第に進展してきた.PAFの疾患への関与も多方面から研究されているが,なかでも2種類のPAF分解酵素(PAF acetyl—hydolase)アイソザイムの構造決定とそれぞれの気管支喘息,および先天性中枢神経疾患(Miller—Dieker無脳回症)との関わりの解明19〜22)は注目に値する進歩である.また,PAF受容体が肺炎球菌の生体内侵入のための受容体としても働くという報告がなされ23,HIVとケモカイン受容体の関係同様に感染制御の面からもPAF受容体に対する関心が高まっている.
本稿ではPAFおよびその受容体の生化学的側面,および最近の臨床的な知見を紹介したい.
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