特集 生物進化の分子マップ
17.受容体
リアノジン受容体の分子進化
小川 靖男
1
Yasuo Ogawa
1
1順天堂大学薬理学教室
pp.466-468
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100314
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リアノジンRyは南米ベネズエラ,トリニダード島原産のイイギリ科の植物の茎,根から抽出されるリトマス中性のアルカロイドである。殺虫剤として使われ,昆虫では多くの場合麻痺性筋弛緩を起こすのに対し,哺乳類骨格筋に対しては遅効性の不可逆的な強い筋拘縮を起こすことで注目されていた。Ryは開状態のCa2+誘発性Ca2+遊離CICRチャネルに高親和性に結合し,チャネルを開状態に保持することが明らかにされ,Fleischerら1)はウサギ骨格筋筋小胞体からRy結合蛋白を単離した。非常に大きな蛋白であり, CICRチャネル活性を示すことも確かめられた。即ちリアノジン受容体RyRとは(筋)細胞のSR/ER膜に存在するCICRチャネル蛋白である。Takeshimaら2)は初めてRyRの塩基配列を確定した。
RyはRyRを開口固定するが,その効果は筋の種類により異なる。例えば骨格筋では拘縮を起こすが, 心筋では負の変力作用(収縮力低下)を示す。これは心筋ではNa+/Ca2+交換反応による細胞外へのCa2+汲み出しが強力で,SRのCa2+が枯渇するためである。このほかにCa2+ activated Cl- channel,K+ channelなどの活性変化を介した膜電位変化も考慮しなければならない。
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