特集 現代医学・生物学の仮説・学説2008
2.分子生物・遺伝学・遺伝子工学
相同組換えによるDNA修復の分子機構
筒井 康博
1
,
岩崎 博史
2
Yasuhiro Tsutsui
1
,
Hiroshi Iwasaki
2
1国立遺伝学研究所変異遺伝研究部門
2横浜市立大学国際総合科学研究科
pp.388-389
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100527
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相同組換えは,相同な2本のDNA分子を交換する生体内反応で,すべての生物に普遍的な生命現象である。減数分裂期に高頻度に発生し,父由来と母由来の遺伝情報をシャッフルすることによってゲノムの多様性を創出するともに,相同染色体を物理的に繋ぎ止めることで減数第一分裂における正確な分配を保証する。一方,通常抑制されている体細胞分裂期には,電離照射線照射などによるDNA二重鎖切断(DSB)の修復や複製フォークが崩壊した際の再生など,細胞にとって非常事態のみ活性化される(組換え修復)。不適切な組換え反応は転座や欠失,場合によっては,細胞死やがん化の原因となり得るため,多段階的に制御されている。
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