特集 生命科学のNew Key Word
1.遺伝子/遺伝子発現/進化
DNA組換えを行うタンパクシステム
杵渕 隆
1
,
胡桃坂 仁志
2
,
横山 茂之
1
Takashi Kinebuchi
1
,
Hitoshi Kurumizawa
2
,
Shigeyuki Yokoyama
1
1理化学研究所横浜研究所ゲノム科学総合研究センタータンパク質構造・機能研究グループ
2早稲田大学理工学部電気電子情報生命工学科
pp.390-392
発行日 2004年10月15日
Published Date 2004/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100577
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減数分裂は,真核生物が生殖細胞において子孫を残すために行う必須な細胞分裂である。この分裂が起きるときに,両親から受け継いだ染色体(相同染色体)が対合し,同じ染色体部位に位置する遺伝子間でDNAが組換わる(相同DNA組換え反応)。この反応において重要なのが相同的対合反応である。これは,単鎖DNAと二重鎖DNAの塩基配列が相同な領域において対合される反応である。生物はこの反応を用いて,両親から受け継いだ遺伝情報を交換し,新しい組み合わせの遺伝子セットを持った子孫を作って遺伝的多様性を確保していると考えられている。また,この相同DNA組換え反応は,傷ついたDNAの修復にも使われており,細胞が正常に機能するために不可欠なメカニズムである。DNA組換え反応は,生物界で普遍的な現象であり,それに関わるタンパク質は大腸菌からヒトまで機能構造ともによく保存されている。本稿では,DNA組換え反応に関わるタンパク質に着目して,生化学的,構造生物学的視点から紹介する。
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