Japanese
English
解説
DNA組換え技術の生体膜研究への応用
Aplication of recombinant DNA technique on membrane biology
金沢 浩
1
,
二井 将光
1
Hiroshi Kanazawa
1
,
Masamitsu Futai
1
1岡山大学薬学部微生物薬品化学
pp.221-231
発行日 1984年6月15日
Published Date 1984/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904588
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
能動輸送,エネルギー転換,情報の受容と応答といった生命現象の最も基本的な機構は生体膜にある。こうした機構を解明しようとする努力は,対象とする現象においてもまた研究素材や方法論の上でも多岐にわたっている。このうち生化学的研究の一つの中心課題は,各現象を支える生体膜蛋白質の分離・同定とその特徴を記述することである。Nelson & Robinsonによってまとめられた1982年までに精製された膜蛋白質の一覧表1)によれば,機能を異にする精製膜蛋白質の総数は170である。この数には,機能が同じである場合,対象とした生物種や器官の違いは考慮がなされていないので,実際の精製報告例はこれより若干多いであろう。しかし,この数を可溶性蛋白質の精製例と比較したとき,おそらく桁違いに少ないであろう。また可溶性蛋白質の精製の歴史が60年に及ぶのに対し,膜蛋白質のそれは1970年代からスタートしたにすぎない。したがって,膜蛋白質の精製とその構造と機能の解析は,今後とも生化学的研究の中心的課題の一つとして推移し発展するであろう。しかし,膜蛋白質の精製が技術的に難しいことはすでに良く知られた事実である。そのために界面活性剤の適用について各蛋白質の個別的な経験から一般原則を導こうとすることや,有用な新しい界面活性剤を見出そうとすることなどに努力が重ねられている2,3)。
前述の精製膜蛋白質のうち一次構造が決定されているものは59例である。
Copyright © 1984, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.