特集 タンパク質間相互作用
10.核
相同組換えにおけるRad51パラログのタンパク質間相互作用
川端 昌弘
1
Masahiro Kawabata
1
1兵庫大学健康科学部看護学科
pp.416-417
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100087
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DNA複製や化学物質によって起きるDNA二重鎖切断の正確な修復は,ゲノムの安定性を維持するために重要である。正確に修復することができなければ突然変異,染色体の転座,細胞死やがんの発生につながる。哺乳類細胞ではDNA二重鎖切断のおもな修復経路として,相同組換え修復と非相同末端結合の二つの経路があることが知られている。非相同末端結合は哺乳類細胞では主要なDNA二重鎖切断修復経路で,DNA二重鎖切断末端の連結による相同性を用いない不正確な修復である。一方,相同組換え修復はDNA二重鎖切断のない相同部位を鋳型として正確に修復する過程であり,Rad51タンパク質はその中心的役割を果たす1)。DNA二重鎖切断の相同組換えによる修復過程の概略を図1に示した。
Rad51タンパク質は大腸菌のRecAタンパク質のホモログとして同定された。RAD51遺伝子と核酸配列上相同性がある遺伝子が6種類発見されている。すなわち,DMC1,RAD51B,RAD51C,RAD51D,XRCC2とXRCC3がある。DMC1遺伝子産物であるDmc1タンパク質は減数分裂をおこす生殖細胞に特異的に発現し,DMC1遺伝子はRAD51遺伝子と相同性が高い。一方,ほかの5種類(RAD51B,RAD51C,RAD51D,XRCC2とXRCC3)の遺伝子発現は体細胞にもみとめられ,RAD51遺伝子との相同性は20-30%で,これらがRAD51パラログと呼ばれている2)。
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