特集 シマから学ぶ、プライマリ・ケアの未来—いざ、素晴らしき離島医療の世界へ
【離島医療を支える新しい形】
❶離島医療の担い手を育成する—ゲネプロによる1年間の教育プログラム
山口 卓哉
1,2
,
青木 信也
3
,
高岡 沙知
4
1合同会社ゲネプロ
2長崎掖済会病院 麻酔科
3医療法人 SHIODA塩田病院 総合診療科
4長崎県上五島病院 整形外科
キーワード:
Rural Generalist
,
教育プログラム
,
長崎県上五島病院
Keyword:
Rural Generalist
,
教育プログラム
,
長崎県上五島病院
pp.656-658
発行日 2025年6月15日
Published Date 2025/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350060656
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離島医療の現場に寄り添う「ゲネプロ」の取り組み(山口卓哉)
私は縁あって、長崎の離島医療に医師として8年間だけ携わることができた。離島では医師の守備範囲が広いため、医師の総合力を鍛える場所として適した環境であったと言える1)。指導医や仲間に恵まれて充実した日々であったが、先輩方は孤独やプレッシャーと闘いながら自己研鑽を積み、地域のために貢献しているという現実についても考えさせられた。
「ゲネプロ」は、へき地・離島医療にチャレンジする医師に対し、へき地・離島でも受動的に学ぶことができる1年間のプログラムを提供している合同会社である。1年という短期間であるため、へき地・離島に関心をもつ医師が研修しやすい設計となっている。現場の病院での臨床に加え、ゲネプロによる受動的な学習支援を通じて、へき地・離島で働きながら学びを深める。学習支援の例としては、週1回のオンライン講義により知識の強化を、年2回の対面式ワークショップにより手技の強化を行う。さらに年3回、われわれスタッフや卒業生が現地を訪問し、研修状況や問題点の共有などを現地の指導医を交えて行い、研修生の成長を後押しする。この仕組みは、オーストラリアのクイーンズランド州で実施されているRural Generalist育成プログラムを参考にしている。希望者は研修期間中に渡豪し、本場の育成プログラムに触れることもできる。われわれのプログラムを通じてへき地・離島への医師の流れをつくり、医師不足の最前線で頑張っておられる先生方の負担を減らすことに加え、医療の集約化をはじめとしたシステム変革を共に考える仲間を増やすことも目的としている。

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