特集 シマから学ぶ、プライマリ・ケアの未来—いざ、素晴らしき離島医療の世界へ
【これからの離島医療の話をしよう】
❸人が集まる離島医療 隠岐での実践、総合診療医養成—ゲームチェンジャーとなるために
白石 吉彦
1,2
1隠岐島前病院
2島根大学医学部附属病院 総合診療医センター
キーワード:
地域包括ケア
,
地域医療支援ブロック制
,
整形内科
,
総合診療医養成
Keyword:
地域包括ケア
,
地域医療支援ブロック制
,
整形内科
,
総合診療医養成
pp.653-655
発行日 2025年6月15日
Published Date 2025/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350060653
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隠岐諸島は島根半島から北に約50km離れた島々で、隠岐国とも呼ばれる。島前は知夫里島(知夫村)、中ノ島(海士町)、西ノ島(西ノ島町)から構成される群島である(図1)。島後は1島(隠岐の島町)のみである。従来、島根県の地域医療において、隠岐諸島は過酷で、特に島前地区は最も不人気な任地であった。島前地区に開業医はなく、3島にそれぞれ無床の国保診療所があり、西ノ島に唯一の入院施設として44床を有する隠岐島前病院がある。
1998年に筆者が赴任した当時、常勤医は診療所長、大学から派遣された消化器外科医と小児科医、「自治医科大学枠」の内科医の4名体制であった。大学からの派遣は長くて1年、半年や3カ月交代といった勤務状況であった。筆者も初めての離島暮らしで、「つらいけど1年頑張ってきてくれ」と送り出された。ところが、美しい海も山もある豊かな自然の中で、悠久の歴史を感じながら、家族と過ごす日々は全くつらいこともなく、もう1年、もう1年と過ごすことになった。そして隠岐赴任4年目になる2001年に、34歳で院長の任を担うことになった。

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