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1.Long-term effects of empagliflozin in patients with chronic kidney disease. N Engl J Med 2025;392:777-87. PMID:39453837
研究デザイン│多施設二重盲検プラセボRCTおよび試験終了後長期フォローアップ観察研究
背景・目的│EMPA-KIDNEY試験において,SGLT2阻害薬であるエンパグリフロジンは,疾患進行リスクのある慢性腎臓病(CKD)患者において心腎保護効果を示した。試験薬中止後の同薬の効果を評価するために追跡調査を計画した。二重盲検RCT期間中ならびに,試験終了後2年間の観察期間における同薬の効果について検証する。
対象│次を満たす成人患者[①人種補正後eGFR(CKD-EPIで算出)が,20≦eGFR<45mL/min/1.73m2(尿アルブミン値は不問),または45≦eGFR<90mL/min/1.73m2かつ尿アルブミン/クレアチニン比≧200mg/gのいずれかを満たす,②適切な臨床用量の単剤RAS阻害薬(ACE阻害薬またはARB)を内服(ただし,治験責任医師が「適応外」と判断した場合,または忍容性がないと判断した場合は,例外的に内服しないことも許容)]〔8か国の241施設(日本の全施設は地理的な問題で観察研究には含まず),2019年5月〜2021年4月〕
介入・方法│二重盲検試験の期間は,CKD患者をエンパグリフロジン群(1日1回10mg内服)とプラセボ群に1:1に無作為に割り付けて追跡した(中央値2年)。その後,生存し同意を得た患者を対象に,さらに2年間の追加観察を実施した。本試験終了後の期間には試験用のエンパグリフロジンおよびプラセボは投与されなかったが,現場の診療医はオープンラベルのSGLT2阻害薬(エンパグリフロジンを含む)を適応および供給に応じて自由に処方できた(隠蔽化あり,コンピュータを用いた最小化法,2年間までは患者-治療者盲検)。層別化なし。
プライマリアウトカム│腎臓病の進行または心血管死の複合エンドポイントの発生(ITT解析)
結果│二重盲検試験で無作為化を受けた6,609例のうち,4,891例が追加観察に登録された。追加観察中,オープンラベルでのSGLT2阻害薬の使用率は,両群で同程度であった(エンパグリフロジン群43%,プラセボ群40%)。二重盲検試験と追加観察を合わせた期間で,プライマリアウトカムイベントはエンパグリフロジン群で26.2%,プラセボ群で30.3%に発生した(HR 0.79,95%CI 0.72〜0.87)。追加観察期間のみでは,HR 0.87(同0.76〜0.99)であった。全期間を通じた腎臓病進行リスクはそれぞれ23.5%と27.1%であった。死亡または末期腎疾患の複合リスクはそれぞれ16.9%と19.6%,心血管死リスクは3.8%と4.9%であった。非心血管死に対するエンパグリフロジンの効果は認められなかった(両群とも5.3%)。
結論│疾患進行リスクのある幅広いCKD患者において,エンパグリフロジンは投与中止後最大12か月間にわたり,依然としてさらなる心腎アウトカムへの有効性を維持した。

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