特集 輸血のすべて
Part 2 血液製剤の使用
【コラム⑧】免疫グロブリン:自己免疫疾患—ステロイドや血漿交換にはない強みがある
五島 隆宏
1
Takahiro GOSHIMA
1
1藤田医科大学病院 救急総合内科
pp.126-134
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218804090120010126
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自己免疫疾患に対して免疫抑制(immunosuppression)治療を行うのは一般的だが,その手段は幅広い。近年では,例えばB細胞を標的としたリツキシマブやべリムマブ,それぞれ補体やインターロイキン(IL*1)-6受容体を標的としたエクリズマブやトシリズマブといったように,より特異的な経路を阻害する薬剤が開発されている。しかし,疾患の病態生理が十分に解明されていない場合や確定診断に至っていない状況では,標的を絞らない「非特異性」が有利に働くこともある。免疫グロブリン静脈注射(IVIG*2)は,ステロイド療法や血漿交換と並ぶ非特異的な免疫修飾(免疫調整,immunomodulation)作用をもち,かつ免疫抑制の要素をもたないことが他二者との大きな違いであり強みといえる。
本稿では,IVIGを自己免疫疾患に用いた歴史的背景,作用機序から,現在のガイドラインにおける位置づけまでを概説する。
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