特集 輸血のすべて
Part 2 血液製剤の使用
【コラム⑦】免疫グロブリン:感染症—感染症における免疫グロブリンの生理学と,限定的なエビデンス
島田 侑祐
1
,
片岡 惇
1
Yusuke SHIMADA
1
,
Jun KATAOKA
1
1練馬光が丘病院 総合救急診療科 集中治療部門
pp.120-125
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218804090120010120
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感染症においては,抗菌薬・抗ウイルス薬などの治療薬の投与がその改善において重要な要素と臨床現場ではとらえがちだが,そもそも宿主の免疫能がなければ改善を得られるはずがない。外部からの異物に対する免疫システムのなかでも重要な免疫グロブリンは,感染症患者においてもともとの免疫背景や感染症そのものによる影響により低下するといわれている。その補充として免疫グロブリン製剤の投与が検討され,実際に臨床現場で行われてきたが,生理学的には免疫グロブリンを補充する効果が期待されるものの,臨床試験においては限定的なエビデンスしかなく,敗血症の国際ガイドラインにおいてもルーチンの投与は推奨されていない。一方で,感染症といっても,幅広い免疫背景・感染微生物・感染臓器・重症度があり,本当に免疫グロブリン療法が有用な場面はないのか,明確な答えを出してくれるエビデンスもない。
本稿では,生理学的に考えられる免疫グロブリン療法の有用性と,これまでの研究でわかっている限定的なエビデンスについて解説を行う。
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