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特集 川崎病
川崎病急性期治療のメカニズム(免疫グロブリン,ステロイド,レミケード)
Mechanisms of Treatments for Acute Kawasaki Disease(Immunoglobulin, Steroids, Remicade)
緒方 昌平
1
Shohei Ogata
1
1北里大学医学部小児科
1Department of Pediatrics, Kitasato University School of Medicine
pp.8-12
発行日 2015年1月15日
Published Date 2015/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205608
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はじめに
川崎病(Kawasaki disease;KD)の主要病態は中小動脈血管炎である1).一般的に自己寛解性疾患であり,無治療であっても発症3週間程度で血管炎症状は自然改善するが,無治療で経過した患者の約25%に冠動脈瘤(coronary artery aneurysm;CAA)を形成することが知られている.川崎病急性期治療戦略の最も重要な目的は,血管炎を速やかに制御しCAA発症の予防に繋げることであり,急性期における早期治療介入の必要性が重視されている1).
現在,免疫グロブリン超大量療法(intravenous immunoglobulin therapy;IVIG)が世界的に最も確立された標準的治療法となっている.IVIGの導入はCAA発生率を劇的に減少させ,その開発は川崎病急性期治療における大きな転機となった2).しかし,その明確な抗炎症作用機序は未だ不明である.また,初回IVIGを施行された川崎病患者の約15〜20%が不応を示し,それらの患者にCAA発症を高率に認めることが問題となっている3).いかに川崎病血管炎を早期に制御・終息させ,冠動脈障害を予防するかが現在の川崎病急性期における最も重要な課題である.このような背景のなか,様々な抗炎症療法が川崎病急性期治療として試みられている.
本稿ではそれら抗炎症療法のうち,免疫グロブリン,ステロイド,レミケードの有する既知の抗炎症メカニズムについて言及する.
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