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はじめに
2020年,JSTH*1の学術標準化委員会DIC部会は播種性血管内凝固disseminated intravascular coagulation(DIC)診療ガイドラインの作成を開始し,2024年度に『播種性血管内凝固(DIC)診療ガイドライン2024』1)が公開された。日本でのDIC診療において長らくその方針決定の中核を担ってきたのは,2009年に発表された『科学的根拠に基づいた感染症に伴うDIC治療のエキスパートコンセンサス』2)と,その追補版(2014年)3)であった。そもそもDICはいち病態であり,その対応方針は原疾患の治療方針と合わせて検討されるべきものであるが,一方で,感染症(敗血症)以外の疾患に随伴するDICの病態とその対応方針に関しては,質の高いエビデンスが非常に少ない4)実態があった。DIC診療にかかわる情報の多くが,長らく敗血症を中心とした感染症に主座をおいていたことには,こうした背景がある。
それでも,臨床現場で,個別の患者に対して無益または害を減らし,有益な治療を提供する一助となるべく,本ガイドラインは作成された。基礎疾患別のガイドライン作成は今回が初めての取り組みであり,エビデンスが十分でない分野に関しては,エキスパートらのオピニオンやコンセンサスが中心になっている。一般化に限界のある箇所も見受けられるが,対応に苦慮される場面での方針決定の助力となれば幸いである。
したがって,本ガイドラインは医療や治療に関してその方針を強制したり,現場の医療者らの裁量権を制限したりするものではない。いずれも質の高いエビデンスが十分にはないなかで,選択し得る最善策は個別の患者の病態や現場の体制に応じて変わり得るものであり,本ガイドラインが提示する内容はその方針決定のプロセスの一選択肢にすぎないことを付言する。

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