特集 血栓・止血の異常を理解する―広くて深い基礎知識
[Chapter 2] 血栓・止血に関連する疾患
B.血小板が減少する血栓性疾患
播種性血管内凝固症候群
池添 隆之
1
1福島県立医科大学 血液内科学講座
キーワード:
播種性血管内凝固症候群(DIC)
,
敗血症
,
急性前骨髄球性白血病
,
遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤(rTM)
Keyword:
播種性血管内凝固症候群(DIC)
,
敗血症
,
急性前骨髄球性白血病
,
遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤(rTM)
pp.746-751
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika132_746
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▪播種性血管内凝固症候群(DIC)はさまざまな基礎疾患の存在下で起きる,凝固系と線溶系の亢進が併存する後天性の疾患群である.
▪DICの2大基礎疾患は敗血症と,急性白血病をはじめとする造血器腫瘍である.
▪敗血症性DICでは線溶亢進が抑制されて,微小循環障害が問題となる(線溶抑制型DIC).
▪急性白血病に合併するDICでは過凝固に加え,白血病細胞が発現する線溶亢進物質によって一次線溶が活性化するため,出血リスクが高くなる(線溶亢進型DIC).
▪DIC治療としては,基礎疾患の治療と補充療法に加え,抗凝固療法が推奨される.
▪ヘパリンと比較して出血の副作用が少ない遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤(rTM)は敗血症性DICのみならず線溶亢進型DICにも効果が期待される.
© Nankodo Co., Ltd., 2023