消化器外科周術期におけるリハビリテーション治療

Rehabilitation Treatment in Perioperative Period of Gastroenterological Surgery

はじめに

　消化器外科の対象臓器としては，食道，胃，十二指腸，空腸・回腸，大腸，肛門，肝臓，胆囊・胆道，膵臓，脾臓が挙げられる．また，消化器外科の対象疾患は大きく良性疾患と悪性疾患に分類され，さらに緊急手術と待機手術がある．さらに近年では，消化器系の臓器移植術も全国的に実施されている．

　周術期とは，術前，術中，術後からなる一連の期間のことを指し，診断と手術の意思決定から始まる¹⁾（図1）．術後は，一般的には退院後に社会復帰するまでの期間を捉えるが，周術期という視点で捉える術後は急性期病院の退院までの期間とすることが多い．消化器外科周術期のリハビリテーション診療では，術中の安全と術後の早期回復を重視して行われ，術前から取り組むことが望ましい．

　消化器外科周術期では，疾患特有の症状と手術・化学療法・放射線療法による症状が生じることがある．また，手術の結果生じる消化器系の機能障害にも注意する必要がある．そのためには，対象臓器の解剖や生理，疾患の病態や手術術式（再建法を含む），合併症を理解しておくことが重要である．さらに術前から患者へ周術期におけるリハビリテーション治療に関する指導を行っておくことも大切である．