特集 集団療法のダイナミズム―思春期・青年期の困難事例(第25回九州集団療法研究会より)
激しい自殺企図をもつ摂食障害患者の看護
―受け持ち看護師としてのかかわり―模索しながら患者と真剣に向き合った日々
町田 節子
1
1福岡共立病院
pp.18-24
発行日 2003年11月15日
Published Date 2003/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689900633
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「命だけは助けてください」
摂食障害とは,単なる拒食・過食という食の異常や痩せの希求ではなく,大きくはパーソナリティの障害であり,ときには死にいたる疾患である。
今回の患者は,他院へ9回の入院歴があり,当院への入院直前まで自殺企図を繰り返していた。私たちは,入院時に父親が「命だけは助けてください」と切羽詰った表情で言ったことから,死ぬためには何をするかわらない患者と捉えていた。やがて治療が進むなか,患者の摂食障害という病的な在り方の背景には,家族関係,とくに賭博嗜癖で多額の借金を重ねる母親が,患者に圧倒的な影響を及ぼしていることが明らかになった。この事実を知った筆者は,それまでの徹底した管理中心の看護から,患者が自分を死に追いやる気持ちと,患者と家族とのかかわりに焦点をあてた看護へと変えていった。
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