心病む人とともに 精神科病棟での日日・6
受け持ち看護制とチームワーク
三宅 富貴子
1
1東春病院看護部
pp.682-683
発行日 1983年6月1日
Published Date 1983/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922980
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大学病院はどこも似たようなものであろうが,医師の数が非常に多い.大学は研究・教育機関でもあるからやむを得ないけれど,医師数が多いからよいというものでもない.というのは,精神科という病気の性質にも関係するのだろうが,主治医制の病棟では,主治医と患者さんとの結び付きが強すぎて,ともすると看護者の入るスキ間さえないことがある.主治医は自分の患者さんを大切にし,また患者さんは自分の主治医だけを信頼し,病棟というひとつの共同体の中で,この“主治医一患者”の間に共生関係が生ずることも当然あり得る.看護者の方も,あの人は○○先生の患者さんという見方になり,先生の患者さんだから先生が見ればよい……という傾向さえあった.
そういう治療のあり方に疑問を抱く看護者も多く,また精神科の多くが受け持ち看護制をとり入れているということを知り,一度試みてみようというので1977年5月から受け持ち看護制をスタートした.しかし当初は,担当と言っても個別的なかかわりは少なく,ただ患者さんを割り振るだけで,受け持ち制という名前だけが空転している状況であった.これでは何のための試みであるのかわからず,毎月の話し合いで現状の問題点を出し,検討しながら徐々に発展させてきた.
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