特集 集団療法のダイナミズム―思春期・青年期の困難事例(第25回九州集団療法研究会より)
集団療法の必然性―第25回九州集団療法研究会のケース検討を振り返って
坂口 信貴
1,2,3
1九州集団療法研究会
2野添病院
3くるめ生活精神科医療研究所
pp.14-17
発行日 2003年11月15日
Published Date 2003/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689900632
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はじめに
今回,この特集で取り上げられた九州集団療法研究会のケース検討では,ひとつは患者の内的体験を理解しながらの施設内スタッフ間の連携つまりは院内のチーム医療が,もうひとつはさらに拡大した施設問の連携,言い換えれば地域内の連携活動が取り上げられている。
一般に軽症のケースでは1対1の関係(薬物療法や個人面接)のみで治療可能であるが,重症になればなるほど治療環境が拡大していく傾向にある。その現象は統合失調症を例にとれば理解しやすい。周知のとおり,統合失調症には診察室での個人治療で十分なものから,家族療法,各種集団療法,デイケア,訪問看護などの組み合わせが必要になるものまである。さらには医療にとどまらず,社会福祉施設(生活全般にわたる住居,就労,経済面での支援)や措置入院や生活保護など国の法的措置機関(保健所や福祉事務所など)にまでかかわっていく。
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