特別記事
それは〈支援〉か〈施し〉か—「透明でない」わたしとして存在するために
齋藤 美衣
pp.394-401
発行日 2024年9月15日
Published Date 2024/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689201322
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食べたものを嘔吐してしまったのは9週間ぶりだった。その日の昼、どうしてもわたしは我慢ができなくなって、トイレでその前に食べたそばを嘔吐した。吐いても吐いてもまだ体の中に何かが残っている感じがして、不安で気持ち悪くてたまらない。体を折り曲げるようにして、わたしはトイレで吐き続けた。暑い日だったので、額にも胸元にも汗をかいて、内臓がよじれるように苦しくて悲しくて、涙まで出てきた。そうやってわたしはしばらく吐き続けた。
嘔吐した後はいつも全身が疲労して起きていられなくなる。クーラーの効いた部屋でソファにぐったりと横になった。わたしは「何が起きたのだろうか」という気持ちと「やっぱり」という気持ちの両方を持っていた。
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