Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
角膜の廻折スペクトル及び散乱光の角度分布を測定し,角膜の透明及び溷濁の機構をfiber及びfibrilによって構成される角膜実質の二重格子構造によつて説明した。
(1)透明角膜の表面に垂直に入射する光はfi-berの格子構造に対応して廻折せられ,スペクトルが現れる。その格子常数は13.1μである。
(2)透明角膜に入射する光の大部分はそのまま透過して行くが,一部分は前方に散乱される。側方及び後方には測定にかかる程の光は散乱されない。角膜が透明であるのはfibrilが格子状に配列しているため,干渉によつて散乱が打消されることによるものである。僅かに存在する前方散乱はfibril格子が熱騒乱によつて乱れるためであつて,其の外にfiber格子によるFraunhofer級の廻折も之に関与している。
(3)角膜溷濁時のfiber格子の変化は,偏光顕微鏡所見及び廻折スペクトルの上に反映される。fiber格子の変化は潤濁を起す原因によつて著しく異なつているが,fiber格子の変化は角膜溷濁の本態ではない。
(4)溷濁角膜の散乱は主として前方に行われるが,後方側方にも散乱される。これはfibril格子の乱れによるものであつて,fibril格子の乱れこそ角膜溷濁の本態である。尚散乱光の角度分布曲線は溷濁の原因に特有であつて,fibril格子の乱れの様式が原因によつて異つている事を示している。
The diffraction and light scattering of the cornea were studied, and the double lattice theory was presented to explain the transparency and clouding of the cornea.
The corneal stroma is consisted of the regularly arranged fibers, therefore, the cornea may be regarded as a diffraction grating. If a parallel beam is perpendiculary incident on the cornea, the diffraction spectra will appear. In fact, the clear spectra were observed with polarized light between crossed polaroids. The grating element distance was 13μ.
The light incident on the transparent cornea is transmitted mostly without deviation.
Copyright © 1959, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.