マイ・オピニオン
‘与える者・施す者’の意識を捨てよ
赤木 紀江
1
1日本フィルコン社保健室
pp.711
発行日 1974年7月1日
Published Date 1974/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917046
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病院勤務をしていたころの私は,仕事の処理能力に愚かな自負を抱き,慢心と虚勢をファイトにくるんで,時には命じられて講義をするような看護婦でした.こうして底の浅さを暴露して気づかず,文字通り猪突猛進の私が,やがて妻,母となって,人生の重みを知り,心の貧しい見せかけの職業人でしかない自分の,人としての立遅れを痛感しました.
私たちの育った看護の環境は,混とんとした社会状勢の中で,知識と技術の吸収を急ぐあまり,内面の充実を促す労を欠き,精神的栄養のバランスを崩した欠陥品だったと反省しています.職業の枠を出ない狭い視野で,人としての膨らみがなければ,看護の心の問題に触れてみても,その言葉には活きて人を打つ力はありません.
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