連載 米国の隔離・身体拘束最小化方策=「コア戦略」とは・3
コンシューマー
三宅 美智
1
1天理医療大学精神看護学
pp.70-71
発行日 2014年5月15日
Published Date 2014/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689101323
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コンシューマーとは何か
Huckshornが提唱した「精神保健領域における隔離・身体拘束最小化─使用防止のためのコア戦略」を翻訳した際に、Consumerを日本語でどのように訳すかについて、翻訳者は議論を重ねたと聞いている。翻訳には次のような訳注が付いている*1。
Consumerの本来の意味は「消費者」であり、農作物や商品などに関して生産者と対をなす用語だが、英語ではサービスについてもConsumerが使用される。対象がサービスの場合、日本語では生産者に当たるのは「サービス提供者」、消費者に当たるのは「利用者」であるが、「利用者」にはUserという英語が使用されるため、Consumerに対する訳語は「医療消費者」とされることが多い。サービスが診療であれば受療者となり、それには通例「患者」といった表現が使用されるが、ケアの全体像はより生活や社会をふまえた包括的なものととらえると、病気や障害のみによって特徴づけられる「患者」や「障がい者」の表現は、尊厳と主体性をもって自立や回復を目指すプロセスにとってふさわしい用語ではなく、「利用者」や「消費者」という表現が使用される。
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