徹底分析シリーズ 動脈穿刺/動脈圧測定(各論)
コンシューマー・レポート:アロー社製動脈留置カテーテル
光畑 裕正
1
,
金井 優典
1
,
田島 圭子
1
,
川越 いづみ
1
Hiromasa MITSUHATA
1
,
Masanori KANAI
1
,
Keiko TAJIMA
1
,
Izumi KAWAGOE
1
1順天堂大学医学部付属順天堂東京江東高齢者医療センター 麻酔・ペインクリニック教室
pp.760-761
発行日 2007年8月1日
Published Date 2007/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100374
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動脈穿刺でのカテーテル留置による動脈圧モニターは,現在の診療では頻用されている方法である。決して特別な手技ではないが,動脈穿刺による合併症はいくつか報告されている(表1)1)。しかし,これらの発生頻度は非常に低く,器具の誤操作以外はほとんど発生しないと考えられている。特に,橈骨動脈穿刺による遠位部の虚血やカニュレーションに続く血栓症,神経損傷,感染,出血は0.1%以下の頻度であり,非常にまれなものである2)。この合併症のうち動脈閉鎖の危険因子は,長期間カニューレ留置や血管疾患の併発,対外循環,女性,多回穿刺などとされている。また,橈骨動脈カニュレーション後に発症する虚血を予防するために,その可能性を検討するためにAllenテストが多く使用されているが,この合併症の回避には信頼性がない。
橈骨動脈穿刺時には一般的に,指先を固定して手首を過伸展して操作を行うことが多いが,手首の長時間の過伸展は正中神経の一過性の神経損傷を起こすことがあるので,可能なかぎり早めに生理的位置に戻す必要がある。
現在の診療では,動脈圧モニターは十分な注意をもって行えばほとんど合併症を起こすことはなく,循環管理を行ううえで非常に有用な方法であることは間違いない。
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