連載 DNAは、いつ統合失調症の秘密を語るのか・3
臨床的な、あまりに臨床的な
糸川 昌成
1
1東京都医学総合研究所統合失調症・うつ病プロジェクト
pp.66-73
発行日 2013年7月15日
Published Date 2013/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689101203
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都立病院の医師との交流
私が勤務する東京都医学総合研究所と都立松沢病院はフェンス1枚で隣り合っている。くぐり戸を開けて、私たち研究員と松沢病院の医師や看護師は互いに行き来している。病院の職員は研究所へ来て図書室で文献を調べたり、研究員に臨床研究の相談をしたりしている。なかには研究所から研修生という身分を得て、多忙な臨床の合間をぬって研究室で実験をする医師もいる。
10年近く前のことである。古田愛作先生という医師が、私たちのラボの研修生になられた。病棟勤務が始まる前の早朝や外来を終えた夜など、研究室へ顔を出し、実験をするようになった。西日本の国立大学を卒業されて7~8年目という。瀬戸内を臨む母校の基礎研究室で、深夜まで実験に熱中したという話を彼からしばしば聞いた。精神科のトレーニングも積み、非常勤で臨床業務にも就いていた。基礎教室の教授が定年退官されたのを機に母校を離れ、上京して松沢病院の精神科へ異動してきたのだ。
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