連載
萱間真美の「この2か月」+「働きママン」・14
萱間 真美
1
1聖路加看護大学精神看護学
pp.111-116
発行日 2012年7月15日
Published Date 2012/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689101064
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大学に遊びに来てくれる新人たち
卒業生たちが、大学に遊びに来る季節になった。今年卒業した新人が、初めてのお給料でお菓子を買ってきてくれた。長年、実家から大学に通っていた彼女は、就職を機に一人暮らしも始めたという。お金がかかることも多いだろうに、私たちのところにお菓子を買ってきてくれるなんて、と胸がきゅんとする。ちょっと痩せたかなと思ったが、「仕事はどう?」と聞くと、「もう夜勤も始まるんです」と元気に答えたので、「頑張ってね。夜勤明けにもいつでも来てね」と伝えた。大学に近い病院に就職した場合、深夜勤明けに訪ねてくる卒業生は意外と多い。緊張し、興奮して徹夜するとハイな状態になって、誰かと話したくなるようだ。ある時期からは適切に眠くなり、ぱったりと来なくなるが、しばらく訪問が続くことがある。
少し前に卒業した人たちも、3年目や4年目を迎えるとやってくる。「卒業して何年かしたら精神科に行こうと思っていたので、今年は試験を受けます。どこの病院がいいですか」という相談は、本当にうれしい。よくぞあの頃の気持ちを忘れず、厳しい臨床で生き残ってくれたと思う。「ありがとう。仲間が増えて、本当にうれしい」と伝えると、きょとんとしている。彼らの人生は彼らのもので、教師がお礼を言うようなことではないからだろう。でも、やっぱりうれしいのだ。
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