特集1 めざせ行動制限最小化への道
【関連論文】行動制限と看護師の役割―精神科看護の裁量権問題をめぐって
吉浜 文洋
1
1神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部看護学科
pp.27-37
発行日 2010年3月15日
Published Date 2010/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100685
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1.「行動制限基準」は、臨床の現状と乖離している
グレーゾーン問題
表1の疑問にどのように答えればいいのだろうか。これらの質問は、臨床の方々から実際に私自身が受けたことのある質問である。精神保健福祉法で定められている行動制限基準(ガイドライン)(注1)と臨床現場との乖離が大きいが故に、これらの問いは発せられている。
疑問を感じつつも何らかの意思決定をして行動に移さなければならないのが臨床である。明確な判断基準が示されていないのだから、臨床現場の判断に任されていると考えて、病院のポリシーに基づいて、あるいは病院の置かれている現実に即して判断すればいいとする施設が出てくるだろう。しかし行動制限基準は国レベルで定められた基準であり、それを無視した施設ごとのローカルルールの設定は許されていないはずである。各病院の独自解釈が許されるという風潮があるとすれば問題である。
表1に挙げておいた疑問は、現在の行動制限基準では明確にされていない、いわばグレーゾーンとされている事項である。グレーゾーン問題は、法を遵守しようとすればするほど看護者を困惑させる(注2)。そろそろ明確にする時期に来ているのではないかと思えて仕方がない。
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