増刊号特集II “チーム医療”と特定看護師(仮称)のゆくえ
[インタビュー]看護師による裁量権拡大における課題
細田 満和子
1
,
小野田 舞
2
1ハーバード公衆衛生大学院
2首都大学東京大学院
pp.736-740
発行日 2010年7月26日
Published Date 2010/7/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101809
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医療技術の高度化・複雑化により,医療スタッフの専門性がより一層問われる時代になってきた。その一方で,医師や看護師は深刻な人材不足に陥っており,医療現場の疲弊した様子がしばしば話題にのぼっている。このような情勢に対応するべく,医師と看護師などの協働・連携のあり方を検討することを目的とした「チーム医療の推進に関する検討会(以下,チーム医療検討会)」が設置され,2009(平成21)年8月から2010(平成22)年2月までに11回の議論が重ねられた。
2010年3月19日に提出された最終報告書では,一定の医行為を実施可能にする「特定看護師(仮称)」という新たな資格名称が登場した。「特定看護師(仮称)」とは,医師の包括的指示にもとづいた一定の範囲内の特定医行為を実施できる資格とされている。この資格の登場は看護師の裁量権の拡大と解釈できる。医師と看護師との協働・連携の議論が,看護師の裁量権を拡大する動きへと流れが変わったことに,多少の違和感をもった人も少なくなかったと思われる。しかし,看護師の裁量権拡大の議論に,厚生労働省など国の行政機関が関わり始めたことを鑑みると,この動きは今後ますます加速していくものと予測される。
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