連載 認定看護師のつぶやき・2
行動制限最小化認定看護師
鎗内 希美子
1
,
賀山 道広
2
,
渡部 晃
3
1以和貴会金岡中央病院
2山口県立こころの医療センター
3財団法人創精会松山記念病院
pp.83,95,115
発行日 2011年5月15日
Published Date 2011/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100869
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鎗内:「貝塚中央病院での拘束による患者の宙づり死亡事故」。地元なのでやはり一度は傍聴したいと思い、12月21日裁判を傍聴してきました。この事件が発覚したときには、看護師が刑事事件で逮捕されたということで、とてもショッキングでした。裁判を傍聴して、この事件は決して他人事ではない、自分たちも同じような立場になってしまうかもしれないという不安にかられました。逮捕されているその看護師は、手錠をかけられ、腰ひもをつけられた状態で入廷してきました。ドラマでしか見たことがなく、目のあたりにすると衝撃的でした。この事件では、記録の改ざんと拘束中の観察を怠っていた点は看護師も認めていましたが、「まさかこのように逮捕されてしまうとまでは考えていなかった」「逮捕されて初めて、事の重大さに気づいた」という証言がありました。医療に従事する専門職として「拘束」をおこなうことへの意識の低さを感じました。しかしこのようなことは決して貝塚中央病院だけではなく、法律や運用マニュアルはあっても、その解釈については各病院でさまざまです。それが正しいのか間違っているのかも判断できず、事故が起きてしまってからでは後戻りはできない。患者さんの命も、私たち看護師やかかわっている人たちの大事なものもすべて失ってしまうかもしれない。裁判を傍聴して、自分たちのおこなっていることの危うさに戦慄が走りました。
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