特集 思春期病棟を「発達障害」の視点から作り直した病院がある―大阪府立精神医療センターの試み
医師の視点から見た思春期病棟の変遷
植松 美行
1
1大阪府立精神医療センター
pp.45-48
発行日 2010年1月15日
Published Date 2010/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100666
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私が思春期病棟を初めて担当したのは、15年前になります。その頃の大阪府立中宮病院には14の病棟があり、その大部分の13病棟は成人の病棟でしたので、当然私も成人病棟を併せて受け持っていました。当時、改革を要すると思われたのは、むしろ成人病棟の方でしたが、ここではそれに触れないことにしておきましょう。
思春期病棟には、成人病棟には少ない、神経症圏、解離性障害、摂食障害、さらにボーダーラインの患者さんたちが入院していました。実際の治療にあてられる時間やかかわりはこうした患者さんたちのほうが濃厚だったのですが、やはり主たる治療の対象は、統合失調症をはじめとした精神病圏の患者さんだと思われていました。そのため総じて病棟は「病気の治療をする場」という位置づけでした。
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