連載 技法=以前・6
「病識」から「問題意識」へ
向谷地 生良
1,2
1浦河べてるの家
2北海道医療大学
pp.96-100
発行日 2008年1月15日
Published Date 2008/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100479
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統合失調症をもつ当事者へのかかわりのなかで、もっともむずかしいのが「病識」の問題である★1。
カール・ヤスパースは、人が自己の体験に対して観察し判断しながら立ち向かうことを疾病意識とし、そのうちの「正しい構えの理想的なもの」を病識と定義した★2。一般の辞書を開くと、広辞苑では「精神的疾患を持つ者が、自分が病気だと自覚すること」と記載されている。特に妄想は一般的に訂正が困難といわれ、いわゆる「病識」の欠如から派生する人間関係のトラブルが、当事者の地域での暮らしを困難にする。それが入院の長期化の一因ともなっている。
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