Japanese
English
特集 精神疾患における病識・疾病認識—治療における意義
認知行動療法と病識
Insight and Cognitive Behavioral Therapy
石垣 琢麿
1
Takuma Ishigaki
1
1東京大学大学院総合文化研究科
1Graduate School of Arts and Sciences, The University of Tokyo, Tokyo, Japan
キーワード:
Illness
,
Cognitive behavioral formulation
,
Psychosis
,
CBTp
,
Metacognitive training
Keyword:
Illness
,
Cognitive behavioral formulation
,
Psychosis
,
CBTp
,
Metacognitive training
pp.1421-1427
発行日 2019年12月15日
Published Date 2019/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205954
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抄録 本稿では,現代の認知行動療法に含まれる幅広い概念と技法を概説し,病識や疾病認識が認知行動的フォーミュレーションや治療期間に与える影響について検討した。認知行動療法ではその基本姿勢や技法から,狭義の病識より認知行動モデルに基づく疾病認識のほうが重視される。しかし,どのような精神障害の患者であっても,治療開始当初はその疾病理解を十分に得ていない場合が多く,理解が進まないとフォーミュレーションや治療にも時間がかかる。一方で,一般には精神療法の対象とされてこなかったpsychosisにも,さまざまな工夫と修正を加えることによって認知行動療法が適用される機会が増えている。主に英国で研究開発された技法は幻覚や妄想のような陽性症状に有効とされているが,症状の背景にある認知バイアスに焦点を当てて,病識の乏しさに由来する治療への抵抗を弱めようとする新しい方法も考案されている。
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