特別記事
―精神看護学の授業に悩みを感じている先生たちへ 2回連続その1―学生と共に学ぶ・学生と共につくる授業をめざして―授業リフレクションによる教える人の学びと成長
目黒 悟
1
1藤沢市教育文化センター
pp.84-90
発行日 2007年9月15日
Published Date 2007/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100443
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何が授業で、何がそうでないか
皆さんは「調べ学習」という学習形態をご存じでしょうか。“調べて、まとめて、発表する”という3つの段階からなるこの学習形態は、私が授業研究を通して20年来かかわってきた初等・中等教育の世界では、古くは「調べて、まとめて、提出させる」という形で、社会科や理科などの教科学習に取り入れられてきたものです。現在では、子どもたちの主体的な学びを促進し、問題解決能力や情報活用能力を育てる目的で「発表する」ことにも力点がおかれ、総合的学習の時間などに行なわれることが多いのですが、ややもすると“調べて、まとめて、発表する”という3つの段階が形だけのものになりがちです。何のために、なぜ調べるのかといった“問い”が十分に子どもたちのなかに生まれる前に、教師から課題やテーマが与えられてしまうことが少なくないためでしょう。自分自身にとって問題意識が十分でない子どもにとっては、調べることよりもプレゼンテーションツールを駆使したまとめの活動や、内容よりも発表の仕方に動機づけられてしまうのも無理からぬことかもしれません。
なぜ、このようなことをお話ししたかというと、実は私がこれまでに立ち会う機会のあった看護教育の講義には、あたかも形骸化した「調べ学習」の発表会のように見えてしまうものが驚くほど多かったからです。もちろん、それは講義のなかに学生による「調べ学習」を取り入れているという意味ではありません。授業者が、自分の担当する領域・テーマ・素材などについて“調べて”、プリントや資料などに“まとめて”、講義の時間に“発表する”というものです。
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