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3人到着
ひょんなことから、スウェーデンから精神看護を専攻する3人の大学院生を、5週間にわたり研修に迎えることとなった。4月、東京は桜が満開。絶好のお花見日和の頃、3人は日本に到着した。ちょっとおすまし屋で繊細なスザンナ、健康的でお茶目なジェニー、思慮深くはにかみ屋のテレーズの3人である(ちなみにスザンナは腰まで垂れる金髪に明るい大きなブルーの瞳、ジェニーは、フランス映画“ポン・ヌフの恋人たち”でヒロインを演じた女優ジュリエット・ビノッシュにちょっと似ている。テレーズはといえば、理知的で彫りの深い横顔が印象的である―要するに我々とは、容姿が全然異なっていた)(写真1)。
ひょんなことからと書いたが、そもそもなぜ3人が、私のところに来ることになったかといえば、それは次のような事情による。私たちは、東京女子医科大学看護学部・精神看護学教室で、平成16~18年度にかけて精神科看護倫理に関する研究(科学研究費基盤研究(C)(2)『精神障害者の人権保障のための看護師の意識と技術に関する研究』)に取り組んできた。その研究過程で私たちは、研究の第一段階で行なった質的調査をもとに、尺度を開発し、「精神科看護師が臨床で体験する倫理的問題」について大規模な実態調査を実施した。その調査を実施する際に、同時に使う関連尺度を探していたのであるが、たまたま「精神科看護師の倫理的感受性」を測る尺度(Moral Sensitivity Test)をある学術雑誌*1で見つけ出し、その尺度の使用許諾を得ようと、スウェーデンのストックホルムにあるErsta Skondal University Collegeの教授でありヘルスケア・サイエンス学部の学部長でもあるKim Lutzen博士に私が手紙を書いたのが事のはじまりである。
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