特集2 どうやってもうまくいかなかった「境界例」
事例を読んで、こう思った
➀私は「厄介」だと思ったことがないのです
板山 稔
1
1東京医科大学・大学院・精神保健看護学
pp.51-55
発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100335
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私は現在大学院で精神保健看護学を学んでいますが,以前は精神科の入院病棟やデイケアに勤務し,主に思春期・青年期の患者のケアに携わってきました。診断名は統合失調症,人格障害,心因反応,摂食障害などさまざまでしたが,対人関係,自己像,感情の不安定さや衝動的な行動などが問題になる患者も多く,そういった意味では境界例の看護に通じる部分が多かったようにも感じます。今回はそのような経験も踏まえて,境界例の事例のケアについて考えてみたいと思います。
事例についてふれる前に,もう少し私の勤務していた職場の状況について説明しておきたいと思います。私が勤務していた精神科では,治療者との対人関係で起こる現象に着目し,精神療法的なかかわりを重視していました。患者の言動を生育歴のエピソードと照らし合わせて解釈し,受け持ち看護師が中心となり看護の方針を立てていました。日々のかかわりでは,患者がいろいろなスタッフにかかわりを求めてくるのをよしとし,受け持ち以外の看護師もかかわることを大切にしていました。
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