特集 思わず膝打つ「現場の工夫」
➀保護室 処遇盤を用いてインフォームドコンセントを試みる
西 宏隆
1
,
山本 潤
1
,
原 真衣
1
1昭和大学附属鳥山病院急性期治療病棟
pp.18-22
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100072
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保護室でも、患者の治療参加は可能なはず
隔離・拘束および、行動制限を開始する際には、精神保健指定医の書面による告知がなされ、患者に対して書面が提示されます。患者はそれを常時確認することができます。しかし、これまで保護室を必要とする患者は現実検討能力が著しく低下しているという理由で、インフォームドコンセントを行なうことは難しいと考えてきました。
当院においては、急性期治療病棟の保護室での生活における行動制限内容について、看護師は一覧表を使用し把握しています。しかし、患者個々の行動制限については口頭での説明が中心となっており、そのやり方では患者には理解されにくく、また看護師の説明にも統一性がないように感じられました。
精神保健福祉法における処遇の基準の基本理念には、「処遇に当たって、患者の自由の制限が必要とされる場合においても、その旨を患者にできる限り説明して制限を行うよう努めるとともに、その制限は患者の症状に応じて最も制限の少ない方法により行わなければならない」*1とあります。
このことからも、患者との情報共有を向上させる必要性を感じ、治療環境として、患者が現状の処遇状況を知ることができ、患者も治療に参加できる環境を整えることが必要であると考えました。そこで保護室の患者に「行動制限一覧表」(以下、「処遇盤」とします)を提示し、処遇についての説明を行なうことを試みました。
その結果、看護師の保護室におけるインフォームドコンセントへの意識や、患者への対応に影響を見出すことができたので、ここに報告します。
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