特集1 はじめての抗精神病薬「副作用」マニュアル 後編
➁高プロラクチン血症
高プロラクチン血症
長嶺 敬彦
1
1清和会吉南病院
pp.33-35
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100158
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プロラクチンと身体症状
目に見えにくい病態ではあるのですが、高プロラクチン血症も抗精神病薬による副作用であり、決して稀ではありません。
プロラクチンというホルモンはさまざまな制御を受けているのですが、主にドーパミンによる制御を大きく受けています。通常ドーパミンは、脳下垂体前葉(漏斗下垂体系)にあるプロラクチン分泌細胞(lactotoroph細胞)の表面にあるドーパミンD2レセプターに結合して、プロラクチンの分泌を「抑制」する方向に作用しています。しかし抗精神病薬がもつ選択性のないドーパミンD2遮断作用によって、この漏斗下垂体系におけるドーパミンD2受容体をも塞いでしまうと、プロラクチン分泌抑制がとれて高プロラクチン血症という状態が引き起こされるのです。
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