今月の臨床 ホルモン療法—新しい動向を探る
ホルモン療法のポイント
7.高プロラクチン血症
石塚 文平
1
1聖マリアンナ医科大学産婦人科
pp.1292-1294
発行日 1996年10月10日
Published Date 1996/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902691
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高プロラクチン血症の病態と病因
脳下垂体のプロラクチン分泌が非生理的なレベルまで亢進すると,乳腺の分泌能は刺激されて乳汁分泌が起こる.産褥期以外に見られる非生理的な乳汁分泌をgalactorrheaという.高プロラクチン血症は同時に視床下部の神経伝達物質に影響を与え,GnRHのパルス状分泌が障害され,中枢性の卵巣機能不全を呈する.この病態を乳汁分泌—無月経症候群(amenorrhea-galactorrhea syn—drome)と言う.
高プロラクチン血症症例においては,女性では90%以上の症例に排卵障害または黄体機能不全などに起因する月経不順が見られる.血中プロラクチン値別の無月経率を見ると,プロラクチン値26〜100ng/mlでは58.1%,101〜300ng/mlでは86.7%,300ng/ml以上では100%が無月経を呈する1).これに伴い不妊が問題となる.また,昼間は血中プロラクチン値が正常で夜間に異常高値を示し,月経異常,不妊を呈する潜在性高プロラクチン血症の存在が明らかになっている.これらの月経異常,不妊の治療にも薬剤療法が有効である.無月経,不妊を訴える症例では昼間のプロラクチン値が正常でも夜間の高値,TRH負荷試験の過剰反応を含めた検索が必要である.
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