Medical Scope
高プロラクチン血症[1]
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.167
発行日 1982年2月25日
Published Date 1982/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205979
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プロラクチンprolactinというホルモンがあるのを諸君はよく御承知のことと思います。このホルモンは下垂体から分泌され,乳汁の分泌を促進したり,排卵を抑制する作用があることで知られています。一定のレベルで分泌されていれば何も問題はないのですが,過剰に分泌されると,卵巣からの排卵を抑制してしまうので,月経がなくなったり,乳汁が少し分泌されるようになります。しかも,排卵が抑制されるので,当然ながら不妊症になるわけです。このようなプロラクチンの分泌過多の症例のことを,高プロラクチン血症hyperprolactinemiaというのです。
今日では,初潮以来月経があった女性が途中で急になくなったり,子供を1人産んでから不妊症になった女性のなかの約20%,5人に1人ぐらいの割合で,この高プロラクチン血症の症例がみられるといわれ,不妊症の分野では大きな話題になってきていますので,その知識を少し解説することにしました。
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