Medical Scope
高プロラクチン血症[2]
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.267
発行日 1982年3月25日
Published Date 1982/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205996
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先月お話した高プロラクチン血症のつづきです。正常な女性の血中プロラクチンというホルモンの濃度は30ng(ナノグラム)/ml以下です。これが高プロラクチン血症になると,これ以上に高くなり,下垂体に腫瘍があるような人では100ng/ml以上となってしまうことが多いようです。ですから,不妊症で外来をおとずれた無月経の人,産後の無月経の人は,一度血液をとってプロラクチンの濃度を調べる必要があります。このとき,患者さんの乳房をさわってみて,乳汁が少し分泌するようであれば,高プロラクチン血症の疑いはさらに濃厚となります。そして下垂体腫瘍を合併しているかどうかは,CTスキャンやX線写真でのトルコ鞍撮影,視野狭窄があるかどうかの視野検査たどで診断されます。
下垂体腫瘍がない高プロラクチン血症では,薬剤によって治療しますが,このプロラクチンの分泌過剰を抑制する薬剤は「ブロモクリスチン」といいます。この薬剤は経口的に投与しますが,投与後2週間で血中のプロラクチン値は下降してきます。そして,この頃をみて,クロミフェンという排卵誘発剤をのませると,排卵を誘発し,月経も発来するし,妊娠も可能となります。基礎体温をつけていると,今までずっと低温層であったのが,排卵すると高温層になるので,その後1週間たったらブロモクリスチンの投与を中止します。
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