連載 管理者日誌・2
仕事に自信と誇りがもてるような職場風土
井上 弘子
1
1北海道総合在宅ケア事業団
pp.138-139
発行日 2002年2月15日
Published Date 2002/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901448
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研究を通じて職場環境の大切さを再認識
1982(昭和57)年の秋,私は千葉大学看護実践研究指導センターにおける初めての研修で,臨床実践者が看護研究を学ぶ機会を与えられました。全国の大学病院から集った12名の管理者たちと共に3か月間,千葉大学のキャンパスで研究というものに取り組むことになりました。受講生のほとんどは,教授の指導の下で研究を行なう機会など無かったため,どのようなテーマで何を行なったらよいかを決めるまでに時間がかかりました。実践能力に優れた管理者たちも,こと研究となると,期待と不安の中で数週間彷徨(さまよ)ったことを思い出します。
3か月間は長いようであっという間に過ぎた期間でしたが,この間,各受講生たちの病院または看護部の対応がさまざまで驚いたものでした。ある人は看護部から指令を受け,ダンボール箱一杯の資料を持参し,ある人は研究のフィールドに自分の病院を使わせてもらえず,困って友人の病院に依頼する等,厳しい職場環境があることを垣間見,考えさせられました。私の場合は何ら制約もなく,自由に取り組むことを許されました。当時,精神神経科病棟の婦長でしたが,関わりに苦慮していた痴呆老人の看護に的を絞り,「呆け老人の文献的考察」をテーマとすることができました。努力の末,苦難を突破した時に味わった喜びを,仲間と共に分かち合いたいと心から思いました。
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