今月の言葉
誇りある仕事のために
林 塩
pp.9
発行日 1961年12月1日
Published Date 1961/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202235
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近年,助産婦を志す人が少なくなったことについて,関係各方面から,いろいろな意見や,その対策の提案が行なわれている.たしかに,ここ数年の志望数の動きをみれば,「早急に,積極的な手が打たれなければならない」「助産業務の将来にかかわる問題である」と,何か焦燥感にも似た切実な問題として捕えられ,活発な発言となつて表われることも,当然のように思われる.
助産婦の志望数が少ないという問題は,実は助産業務の成り立ちを,経済的にも圧迫している事情を内臓しており,ただ単純に,志望者を多くする方策を考える,というだけでは済まされないむずかしさと,数多くの問題を背景にしている.そしてそれらは,戦後,急激に変革しつつある社会的な現象と,もうひとつに,それにうまく噛み合わされていない,助産業務を規制する法律・制度の貧困にもつながる.言わば自然的な要因と,それに輪をかけた諸制度の人為的な,この二つの要因によつて決定づけられ,問題の解決を二重に困難なものにしているように見受けられる.
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