連載 見直そう 利用者中心のケアマネジメント・14
【事例編10】介護力不足により機能低下が生じている利用者の支援
岩本 里織
1
,
上村 加代子
2
,
中山 貴美子
3
,
岡本 玲子
3
1神戸大学医学系研究科(修士課程)
2NPO法人介護支援の会松原ファミリー
3神戸大学医学部保健学科
pp.140-146
発行日 2002年2月15日
Published Date 2002/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901449
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今回は家族の介護力が不足している脳血管疾患の事例を取り上げたい。脳血管疾患後遺症者は生活の再構築が困難である場合が多い。これは,高齢者に多い疾患であるために,もともとの活動性が低く,予備力が低下していることと,脳の損傷から知覚や認知,学習などの障害が加わり,片麻痺に対応した心身の動きを新しく学習したり,動きの手順を組み立てたりすることが困難になるためである。そのために,人的環境と居住環境の2つの家庭環境を整えることが不可欠である1)。
脳血管後遺症者が,できるだけQOLの高い生活をおくるためには,同居家族とその介護機能に依存しなければならない場合も少なくない。しかし,介護者は介護の長期化により,疲労が高じたり,心身の健康が脅かされることもある。したがってケアマネジャーは家族の介護力を正しくアセスメントし,家族を支える適切なサービスを積極的に取り入れて調整する必要がある。
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