特集 看護現場のストレスマネジメント考
職場環境の活性化をめざして
新卒看護師が定着する職場風土づくり
吉村 浩美
1
1聖隷三方原病院看護部
pp.344-349
発行日 2006年5月10日
Published Date 2006/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100066
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
はじめに
看護界では,労働環境の整備は第二のリスクマネジメントといわれる。安全に医療を提供するためには,職員のメンタルヘルスなどのストレスマネジメントは看護管理者として重要な課題である1)。しかし,近年の医療界は入院期間の短縮に伴う業務量の増加に加え,インフォームドコンセントの充実や医療事故防止など課せられた使命が大きくなり,職員の緊張度は高く,それが離職の要因ともなっている。このような環境下において職員の離職を防止するためには,看護師としてのモチベーションを維持し,なおかつ楽しく仕事ができるよう職場の風土を温かく変革することが重要である。2004(平成16)年の日本看護協会の調査では,就職1年以内に離職する新人看護職員が8.8%と報告され,職場への適応が難しい実態を痛感する2)。
新人職員の離職にいたる要因はさまざまであるが,リアリティショックが最も大きい。クレイマーによると,リアリティショックとは「理想や期待と現実のギャップから生じる,現実に対するショック反応。期待はずれで望んでいないことに対する人間の社会的,身体的,情緒的なものを含む総合的な反応である」(クレイマー,Kramer M.)。新人職員の受け入れにあたっては,リアリティショックおよびメンタルヘルスに対応する必要があると考える3,4)。そこで本稿では,当院が構築した新人職員の支援体制とストレスマネジメントを中心に,離職防止への取り組みを紹介する。
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.