特集 危機状況にある患者の理解と看護の役割
喪失と悲嘆—危機のプロセスと看護の働きかけ
小島 操子
1
1聖路加看護大学
pp.1107-1113
発行日 1986年10月1日
Published Date 1986/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921535
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はじめに
看護婦は救急部門やICU,CCUのみならず,あらゆる場面で危機状況にある患者や家族に出会っている.1960年代後半にアメリカ合衆国で発展した〈危機理論〉(crisis theory)や〈危機への働きかけ〉(crisis intervention)は,看護領域においても,緊急の心理的援助を必要としている患者や家族に最適な対応をするために,看護の新しい方向を示すものとして積極的に取り入れられるようになった.わが国の看護領域では,〈危機〉(crisis)という用語が使われるようになってまだ日が浅く,当初は危篤と混同されたりしたが,最近,次第にその考え方や理論を取り入れて看護が行なわれるようになってきた.
本稿では,危機とはどのような時にどのように起こり,どのように経験するかを,喪失と悲嘆を中心に述べ,どのような特有な働きかけが必要かについて危機のプロセスにそって述べる.
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