特集 周産期に子どもを亡くした家族に寄り添う
海外文献から周産期喪失を考える
レビュー① 周産期喪失と病的悲嘆
堀内 祥子
1,2
1昭和女子大学大学院生活機構研究科心理学専攻
2天使の保護者ルカの会
pp.964-966
発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100431
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はじめに
周産期における子どもの死は社会のなかでタブー視されやすい。周囲の人々は思いやりや傷つけたくない,傷つく姿を見たくないという気持ちから,あえて子どもの死について触れなかったり,泣くことや語ることをやめさせようとしたりする。しかし,それは本当に周産期喪失を体験した者たちに寄り添っているといえるだろうか。周産期喪失を体験した親は,あたかも自分の身体の一部を失ったように感じる。特に母親にとって子どもの死は,自分の身体のなかに存在し,確かなつながりを感じていた大切な存在を失うことであり,それは三人称の喪失ではなく,「限りなく一人称に近い喪失」「1.5人称の喪失」ともいえる体験だろう。彼らの大切な子どもの存在や喪失後の家族の悲しみは決して無視されるべきではない。ここでは周産期喪失後の悲嘆に焦点を当て,ケアのあり方を考える。
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